| 赤旗はためく姫路城 |
| 姫路城の解体修理には全国から大工や鳶職人がおよそ百名ほど集まっていました。 |
| 国宝である姫路城の修復工事に携わることに誇りを感じる腕には覚えのある者ばかりで、 |
| 言わば金よりも名誉を重んじる職人気質の集まりとでも言えばいいでしょうか。 |
| 姫路城の修復工事は国の直轄事業であったので、民間の工事の相場と比べると賃金は四 |
| 分の一と安く、おまけに手当や保険もなく、ましてや有給休暇などありませんでした。 |
| 仕事に使う道具や作業着はすべて自前という有様でしたが、それを承知でやって来たの |
| ですから文句は言えません。多少の不満は当然あったでしょうが、皆はそれを口にする |
| こともなく工事に従事していました。 |
| そんなある日、世間ではそろそろ年末のボーナスが支給され始める頃、職人の間でもそ |
| の事が話題にのぼった。その中のひとりの鳶職人の話によると、神戸港で働く知人の雇 |
| 用待遇は姫路城の現場とは全然違うというので、それなら実際にこの目で確かめてみよ |
| と数人の職人が神戸まで行ってみることになりました。 |
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