|
赤旗はためく姫路城
|
|
神戸に着いた一行は運輸省港湾建設労働組合神戸支部の扉を叩いた。初めのうちは半信
|
|
半疑で聞いていた職人たちも段々と他の現場の様子がわかってくると自分たちの待遇の
|
|
あまりの悪さに今まで我慢していた不満が噴き出してきました。姫路に帰ってきてから
|
|
は密かに労働組合結成に向けての準備が始まりました。神戸での話を聞いた他の職人た
|
|
ちも次から次へと組合結成の趣旨に賛同していきました。組合ができてすぐ、最初の団
|
|
体交渉が行われました。文化財修復現場での労働組合結成など前代未聞の出来事で、怒
|
|
りの矛先を向けられた姫路城工事事務所は蜂の巣を突ついたようになりました。始業ベ
|
|
ルなどお構いなしで、事務所を取り囲んだ職人たちの怒号が飛び交い騒然となった。
|
|
組合側の要求は非常勤職員としての身分保障と年末手当の支給などでありました。それ
|
|
までの彼等の立場は一旦年度末に解雇され、新しい年度から改めて再雇用されるという
|
|
条件でした。しかし、再雇用の確約はなかった。職を失う可能性もあったのです。
|
|
うろたえるだけの事務所では埒があかず、交渉相手は文部省となりました。組合の代表
|
|
者数人はみんなのカンパを受けて一路東京へと列車で向かった。
|