鬼 を 迎 え 撃 つ

姫路城の大天守の石垣の一角に奇妙な箇所があります。「へ」の門脇に
位置する階段状に切り欠かれたところがそれです。ここは元何か建物が
あって石垣だけが残ったということではなく、ある目的のためにわざと
造ってあるのです。その目的とはなにか?それを知る手掛かりとして、
大天守と問題の石垣との位置関係に着目してみましょう。すると、石垣
は大天守から見て東北の方角にあたります。昔の方位の呼び方は十二支
によりました。すなわち、北を起点として時計回りに、子(ね)、東が
卯(う)というように当てはめて呼びました。これに従うと、東北は艮
(うしとら)の方角になります。古来、日本では艮の方角を「鬼門」と
して忌み嫌いました。鬼門には玄関や井戸や高い建物を造ったりするこ
とを避ける風習がありました。艮の方角から邪気が侵入してくると考え
たからです。この鬼門信仰は中国から伝わったもので、鬼門という言葉
は紀元6世紀の古代中国の文献にあるといわれています。邪気の侵入を
食い止める方法としては、鬼門に神社を建てる、桃の木を植えるとよい
とされています。鬼と桃の組み合わせはどこかで聞いたような。そうそ
う、桃太郎伝説ですね。古代中国では桃には邪気を払う力があると信じ
られていました。姫路城に見る邪気払いの方法は、大天守の艮の方角に
長壁神社の遺祉があります。また、「と」の一門脇の「ヘ」の渡櫓の
屋根には桃果文鬼瓦を見ることができます。鬼門については非常に気を
遣っていたことがよくわかります。
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