直盛の騒動の張本人である家康はすでに亡くなっている。直盛は忠刻との
婚儀のために江戸を発つ千姫の輿を途中で奪い取り千姫と刺し違えるつも
りであった。秀忠は家康の約束など知らぬ存ぜぬで押し通そうとしたが、
直盛の取りつく島もない様子から、秀忠は、直盛の言い分にも確かに理が
あるが、その企ては幕府への反逆に値すると言った。
幕府は困惑した。老中は評議した上で、直盛が自決するなら情状を酌量し、
一族の中から跡を継がせる者を立ててやってもよいという事に決した。老
中はこれを直盛の家老たちに伝えると、家老らは直盛に自決を勧めたが一
向に聞き入れる様子はなく、意を決した家老坂崎勘兵衛は、酒に酔って寝
入っていた直盛を殺し、その首を差し出した。
秀忠はこの事を知ると、自ら命を絶ったのならいざ知らず、家臣の手で命
を奪われるとはもってのほかと憤った。坂崎家の所領は没収、家名断絶、
直盛の寝首を掻いた勘兵衛は死罪になった。
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