15. シンバシラオレタムネン 
振り返れば姫路城の心柱探しは出だしから天に翻弄され続けて来ました。最初に目星を
つけた木は内部に空洞が見つかり断念しました。全国を探し回ってやっと見つけた二本
目の木は伐採時に折損してしまいました。最後に巡り会った木は切り出しもうまくいき、
運搬も「赤石」まで順調にやって来ました。ここから「下付知」までの8kmは山林軌道
が平坦地を走っていたため、ディーゼル機関車を使って木を運ぶことができるので、前
後2台のトロリー貨車の間隔を縮める作業をしていました。
この時きまぐれな天はまたしてもいたずら心を起しました。作業中の木を貨車から落し
てしまったのです。またしても悲劇は繰り返され、木は折れてしまいました。この期に
及んで天は何という試練を課して来たのだろう。何度皆に辛酸をなめさせたら気が済む
というのだろう。絶望に打ちのめされた『シンバシラオレタムネン』の電報が姫路に届
いたのは昭和34年6月7日の午後のことでした。 
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