| 16. 災い転じて福となす |
| 心柱の納入期限は7月末までと定められていました。いまから心柱を探す時間の余裕も |
| 気力もありませんでした。目の前にあるのは無残にも折れてしまった檜。これを生かす |
| にはどうすればよいか、繰り返し善後策が検討されました。当初の計画では心柱を一本 |
| 材で造るつもりでしたが、輝政の築城当時のままの二本継ぎでいくことに決定されまし |
| た。折れた檜材は根元から15.6mのところまでを使い、足らない部分は先に保留されて |
| いた笠形神社境内木を継ぎ足すこととなりました。木曽の檜材は8月11日に鉄道輸送に |
| より姫路に到着しました。翌日、姫路駅から城まで祝い曳きされ作業場に搬入されまし |
| た。沿道には十万人の市民が集まりこれを祝ったといいます。笠形神社の木は根元の腐 |
| った部分を除き12.5m分が9月15日雨の中姫路まで運ばれ、祝い曳きの後、城へ搬入さ |
| れました。こうして紆余曲折を経た心柱探しにようやく終止符が打たれました。不幸中 |
| の幸いというべきか、木が途中で折れるという誰の目にも災いと映る出来事が結果的に |
| は大天守を組み立てる上で有利な方向に働いたことは何かの因縁といえるかもしれない。 |
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