19. 新生心柱
木曽の山中で心柱探しに悪戦苦闘している間にも大天守の組み立ては続けられていまし
た。昭和34年5月4日、西の心柱がまだ見つかっていないにも関わらず立柱式が行われて
います。搬入された檜材の折れ口は、普通なら数mにわたって裂けてもおかしくなかった
が不思議と裂けることもなくきれいな断面でした。ひびや空洞がないか、中に水がたまっ
いないかを調べてみましたが異常は見つかりませんでした。すぐに製材にとりかかり、余
分な部分約1.5mを木の根元のほうで切ってみると大量の水が出てきました。大きな空洞
を見落としていたのです。もし1.5mの余った部分を木の上の方で切っていたら心柱の長
さが短くなってしまっていたかもしれません。東の心柱は元の木を使用することにしまし
たが根元が腐っていたので2.4m分を檜材で根継ぎしています。根継ぎ部分は重さがかか
ればかかるほどしっかりと組み合わさるように「いすか継ぎ」という手法がとられていま
す。この加工には確かな腕前が必要で、2人の大工が1日に何回もノミを研ぎ直しながら
75日をかけて造り上げました。
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