2. 準備調査
姫路城の「昭和の大修理」は、池田輝政が築城して以来初めての解体修理でありました。
この工事は単に腐朽した部分を取り替え外観を整えるだけのものではなく、天守閣の細
部に至るまでの構造および技術の分析、天守の傾きの原因究明、基礎地盤の状態を明ら
かにするなど、将来の修理のために資料を残すことも大きな目的でした。
まず、工事に先立ち準備調査が行われました。昭和28年に京都大学の棚橋諒博士によっ
て天守の傾きを計測したところ、昭和18年の調査時の測定値と比べて傾きが増大してい
ることが判明しました。翌年には大天守の1/20の模型を造り、天守周辺に深さ30mの
ボーリングをして地質の調査が実施されました。昭和31年には大天守4階の北側外壁に
丸太を取りつけ、丸太の両端に直径16mmのワイヤーロープを結び、それを250m南の
備前丸に据え付けたモーターでウインチを動かし巻上げるという実験を行っています。
一体何の実験かというと、大天守をワイヤーロープで引っぱって急にロープを離すと大
天守は元に戻ろうとするために振動が起る、その様子を計測することによって大天守の
持つ振動の固有周期や、時間が経つにつれて振動が収まっていく減衰率を測定し、工事
の基礎資料とするのが目的でした。それにしても、なんとも大胆な実験ですね。
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